私はまだ誰もみたことのない宇宙初期の銀河の姿を解き明かすため、宇宙望遠鏡を駆使した観測を行っています。銀河内の星種族を調査することで銀河がいつどのように形成されたか、そして、どのように今日見られる姿に至ったかの解明を目指しています。
東北大学の天文学教室では、ユニークな研究が自由な雰囲気で活発に行われています。世界最前線の研究をされている先生方や若手研究者・大学院生がすぐ近くにいる環境は日々の研究生活の励みになると思います。私自身もそのような環境のおかげで、大学院在籍時から国際共同研究など多くの機会に恵まれ今に至っています。現在は2021年12月に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に搭載されている観測装置の性能評価、そしてそれらを駆使した宇宙初期の観測研究を行っています。天文学教室は皆さんが心から打ち込めるエキサイティングな研究に巡りあえる場所です。
私は遠くの銀河やガスを望遠鏡で観測し、138億年の歴史の中で銀河がどのように生まれて進化したか調べています。最近は、130億年以上前の宇宙初期の銀河を探査して、それらの銀河を構成する星々の性質を調査しています。並行して、100-120億年前の水素ガスをマッピングして、銀河進化との関係を調査しています。
東北大学天文学教室は、色々な専門分野をもったユニークな先生方が揃っており、研究環境も非常に充実しています。伝統的に自由闊達な雰囲気もあり、好きなことをとことんやりたい学生さんにうってつけです!
私は現在、上越教育大学で、主に電波天文学を手段とした銀河と星間物質の研究に加え、科学教育をテーマとして研究を行い、初等中等教員を目指す学生を対象とした教育を行なっています。私が東北大学天文学に初めて足を踏み入れたのは、学部3年生で進学した1980年代のことでした。当時の天文学教室は、のんびりした雰囲気で、各々好きなことをやっていましたが、私は学部時代、今は亡き高窪啓弥先生の最後の学生となり、スピッツアーの「星間物理学」の輪講などをしていたのを思い出します。大学院に入学後は、専門として電波天文学を選び、生活の半分は野辺山宇宙電波観測所で過ごしていました。当時を思い出すと、周囲には非常に優秀な人ばかりで、私は正直に言ってやる気のあまりない出来の悪い学生だったと思います(指導する先生方はさぞ大変だったろうと今になって謝りに行きたい気持ちです・・・)。博士後期課程進学後も、おそらく天文学の研究者にはならず、民間就職をするのだろうと漠然と思っていました。そんな私に転機が訪れたのは、博士課程の途中、とある研究会のために発表の準備をしている時でした。いつものようにぐずぐずとして、発表する内容も固まらないまま徹夜をして研究室で朝を迎えようとしていた時、あれ?もしかしてこれってこう?と何かが降りてきました(それはポストスターバースト銀河に関する研究で、ガスは大量にあってもガス円盤が安定になってしまったから星形成が止まったのかも?ということだったのですが)。私の中で、本当に天文学とその研究が面白いと感じ、何かが変わった時でした。あの時の物理A棟8階(当時の天文学教室があったところ)から見た明け方の空の色を今でも覚えています。私の中で、ようやく研究者としてのはじめの一歩を踏み出した瞬間でした。といってももちろん、すぐに優秀な学生に変身できるわけもありませんでしたが(実際、それについても結局論文化するまでにはさらに時間がかかり、学位取得後にようやく出版されました)、あの時の気持ちが研究者としての原点です。私は現職に到るまでに、公共天文台職員などストレートではない経歴を辿ってきていますが、いつの時でも東北大学天文学教室でのあの時の気持ちが私を支えています。 もう一つ、ぜひ伝えたいことは、当時は1学年が5人という少数で(ちなみにその時一緒に進学した久野成夫さん(現・筑波大教授)とは今も共同研究をする仲です)、そのうち2人が女性だったということ、そして、私たちは天文学教室史上3人目と4人目の女性だったということです。当時はこのように女性の非常に少ない世界でしたが、私が電波天文学を選んだのは、女性の先輩である平野尚美さん(現・ASIAA Research Fellow) がいたからというのも大きく影響しています。特に天文学に興味のある女子学生の皆さんに伝えたいのは、新しい道はいつでも拓けていているということです。やりたいことは遠慮せずに何でもやってください。あなたの前にも歩いている人たちがいて、あなたの後ろにも誰かが歩いてきます。東北大学は、日本で初めて女子学生を受け入れた大学です。今は少しずつ女子学生も増えていると思いますが、東北大天文学教室にも女性教員が普通にいる、その日が近い将来にきっと来ると思っています。
1993年に理学部物理系学科に入学し、95年に天文学コースに入りました。97年に大学院理学研究科天文学専攻博士課程に進学し、二間瀬教授のご指導のもとで宇宙論の研究に没頭しました。01年に博士号を取得し、プリンストン大学ポスドク研究員、テキサス大学教授を経て、現在はドイツのマックス・プランク宇宙物理学研究所の所長として宇宙論の研究を続けています。東北大学の天文学コースは、国内トップレベルの『天文学研究機関』、つまり、天文学を学ぶだけでなく、実際に研究する場所です。ここでは、宇宙の始まりから銀河や星の誕生・進化に至るまで、天文学を幅広く学ぶことができます。理論・観測・実験の全てがバランス良くカバーされており、大学の一学科としては国内随一の多様性を誇ります。学生だった頃を振り返ってみても、この多様性のおかげで、狭い分野にとらわれる事なく、何でも自由に研究する姿勢を学べた事は幸運だったと思います。研究者を目指すにせよそうでないにせよ、宇宙の成り立ちを科学的に解明したいと思うならば、天文学コースはその懐の深さであなたの期待に十分応えてくれるでしょう。
私が東北大学天文学教室に在籍していた頃(1990年代半ば)は、およそ10人くらいの大学院生が銀河に関する観測的、理論的研究を行っていたと思います。各々の院生が多面的に銀河の形成進化を研究していたので、暇さえあれば、自由に院生同志でいろいろなテーマについて議論していた思い出があります。当時の天文学教室のスタッフの中には観測的に銀河を研究するもの、数値シミュレーションを用い銀河を研究するものありと、非常にバランスのとれたスタッフ構成だったと記憶しています。研究者の卵であった自分はいいアイディアがひらめくとスタッフの部屋に行きよく議論をしましたが、その議論を可能にしたのも当時のバランスのとれたスタッフ構成によるところが大きかったのではないかと思います。20年くらいたった今でも当時のスタッフは健在らしいので、現在の東北大学天文学教室の大学院生は(私がおおいに楽しんだ)銀河形成、進化に関する活発な議論をスタッフとともに行っていることと思います。私が院生だった頃は、スタッフからあれをやれこれをやれなどという研究遂行上の示唆はそれほどなく、自由に自分で研究テーマなどをすべてきめて、自分の責任で研究を行えました。院生時代の研究成果の良し悪しはともかく、博士過程後期に自由な雰囲気で自分の決めた研究テーマを自分だけの力で遂行しようとしたことは後の自分の研究生活に大きな影響を与えたと思います。現在のスタッフ構成、過去20,30年の銀河に関する研究成果を考えると、東北大天文学教室は銀河の研究を行うには素晴らしい環境なのではないでしょうか。
1995年に二間瀬研究室の門を叩きました。96年に天文学専攻に進学し、二間瀬・服部両教授のご指導のもとで観測的宇宙論・銀河団物理学の研究に励みました。2001年に博士号を取得後、台湾最高学術研究機関である中央研究院の博士研究員、助教を経て、現在は同所の准教授として研究しています。主に、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡で観測される銀河団による重力レンズ効果を利用して、宇宙の主要な重力源となる暗黒物質の研究をしています。東北大天文教室の特色は、星の物理から遠方銀河観測、宇宙論、そして次世代装置開発まで、先端的な研究が幅広く行われていることです。これは独力で研究を進めていくために必要な基礎+柔軟性を培うのに最適な環境だと思います。もう一つ特筆すべきは、これまで多くの個性的、独創的な研究者を輩出してきた、アットホームで自由闊達な独特の気風でしょう。私も、研究スタイルから生き様(?)まで、東北大天文教室の先生方や仲間の影響を色濃く受けました。大変熱意のある先生方がおられるので、積極的につかまえて議論することをお薦めします(先生方も喜ばれると思います)。
2001年3月に天文学教室の二間瀬研で学位を取り、現在は東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構に所属し、観測的宇宙論の研究をしている高田昌広です。観測技術、理論の進展で、宇宙のことはだんだんと分かっています。しかし最新の宇宙論データで明らかになってきたのは、宇宙がダークマター、ダークエネルギーという正体不明のダーク成分で満たされているという宇宙像で、さらに大きな謎に直面しています。ダーク成分の解明を目指し、主鏡8.2mのすばる望遠鏡に超広視野装置を開発し、大規模な銀河サーベイを行うSuMIRe(Subaru Measurements of Images and Redshifts) プロジェクトを進行中で、このプロジェクトに私も関わっています。天文の研究は、人種、国境の垣根はなく、世界中を飛び回り、様々な国の人たちと「宇宙」という共通の興味について議論、共同研究ができる大変エキサイティングな分野です。特に、大学学部、大学院のあいだは天文学、物理学の基礎を学ぶ大事な時期ですので、皆さん東北大の天文教室で宇宙のことについて色々と学んでください。東北大卒業生と一緒に観測的宇宙論の研究ができることを待ち望んでおります。
ハワイ島にある、すばる望遠鏡で働いています。世界中から来る天文学者の観測支援を通して、彼らにベストの成果を出してもらえる様日々努力しています。私は天文学の無い大学から東北大学大学院に進みましたが、ここでの日々が無ければ今の自分はありません。天文学を学びたい、という情熱さえあれば、学部での専門とは関係なく、ここで多くの事を学べます。そういう熱意ある後輩と、いつかすばるで会える日を楽しみにしています!
私は2004年に東北大学大学院天文学専攻で学位を取得しました。現在は四国の愛媛大学の教員として、主にすばる望遠鏡を使った遠方銀河の観測による銀河の形成・進化の研究を行っています。東北大学大学院在籍時には、研究とはどのように進めていくものなのかという基本を学ぶとともに、理論・観測を問わず様々な分野で研究されている先生・先輩方から非常に多くの影響を受けました。東北大学大学院は天文学者としての基礎となる土台作りに大変よい環境だと思います。
私は2005年に東北大学大学院で学位を取りました。現在は、国立天文台チリ観測所で、遠方銀河の観測的研究を行っています。東北大の良いところは、何と言っても豊かな自然に恵まれたキャンパスで自分のやりたい研究を自由にのびのびと出来るところです。私自身、学生時代には研究室で騒ぎ過ぎて先生方に「うるさーい」と注意されたこともありましたが、その有り余る力を研究に向けてみたい人には東北大学はぴったりだと思います。