Subsections
温度で熱運動している電子による逆コンプトン放射強度が、
の非相対論的極限で
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(14) |
で与えられることを示せ。又、この時電子のエネルギー(散乱前で)が、散乱で
だけ増加したとすると、それらの比の平均値が
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(15) |
で与えられることを示せ。
問題にあるように
の非相対論的極限で考える。散乱前電子静止系(K'系)では
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(16) |
であるから、これの角度平均を取り、整理すると
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(17) |
を得る。これをK系に変換する。この際にEq.(17)と同じようになると考えられるが、余分な項が含まれることが推測される。これを
とすると、
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(18) |
となる。ここでは適当な係数である。
今、K系でInverse Compton Scatteringが平衡状態、つまり光子と電子との間でエネルギーのやり取りが行われない下限を考える。
単純に考えるとこれはEq.(18)が零となる条件の様に聞こえるが、実際には様々なエネルギーを持つ光子が存在するので、Eq.(18)をエネルギー平均した上で零、とする必要がある。
下限を考えているので、電子は非相対論的であると仮定し、光子の分布関数はBose-Einstein分布から、近似で
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(19) |
の様に書ける。これより
間に存在する光子の数は
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(20) |
と書けるので、
より、
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(21) |
を得る。平衡状態であるためには
で無ければならないので、結局
となる。
以上の結果を踏まえると、非相対論的な場合Eq.(14),(15)となる。
著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp