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原子核同士を結びつけている強い力は、核間距離 $ 1\,[{\rm fm}]=10^{-15}\,[{\rm m}]=10^{-13}\,[{\rm cm}]$以内では非常に強く働くが、これ以上離れると殆ど力は働かない。 これは核力を媒介する粒子である$ \pi$中間子が有限の質量を持っていることに起因するとして、$ \pi$中間子の質量 $ m_{\pi}c^2$$ {\rm MeV}$単位で求めよ。

ここでは$ \pi$中間子のエネルギー不確定性が高々 $ m_{\pi}c^2$であるとして、エネルギーの不確定性原理から質量を求めよ。

5-(0)解答

エネルギーの不確定性は

$\displaystyle \Delta E \Delta t \sim \hbar$ (45)

と書けるので、これより$ \pi$中間子の質量の大おおまかな値は

$\displaystyle \Delta E \sim m_{\pi}c^2 \sim \frac{\hbar}{\Delta t} = \frac{c\hb...
...,[\rm MeV\,fm]}{1\,[{\rm fm}]} = 197\,{\rm [MeV]}\sim{\cal O}(100)\,[{\rm MeV}]$ (46)

となる。これは正確な値
$ \pi$中間子 $ m_{\pi^{\pm}}$ $ 139.57018 \pm 0.00035\, [{\rm MeV}]$  
  $ m_{\pi^{0}}$ $ 134.9766\phantom{0} \pm 0.0006\phantom{0}\, [{\rm MeV}]$  

に対して、第零近似としてそう悪くないと言える結果である。



Subsections 著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp