1 四元速度ベクトル

$ d\tau^2 \equiv -ds^2$ によって固有時間 $ \tau$ を定義すると、 これはローレンツ変換に対して不変なスカラー関数となる。 これは又慣性系 $ O$ とそれに対して速度 $ \vv$ で等速直線運動している慣性系 $ \overline{O}$ とを考えたとき、 慣性系 $ \overline{O}$ で静止している観測者の時間間隔 $ d\bar{x}^0$ と、 それを慣性系 $ O$ に静止している観測者が測った時間間隔 $ dx^0$ とが

$\displaystyle d\tau^2 = -ds^2 = (dx^0)^2 - \left( d\vx^2 \right) =(dx^0)^2 \lef...
...\quad \Longrightarrow \quad d\tau = \sqrt{1-\vv^2} dx^0 =\frac{1}{\gamma} dx^0$ (22)

で結びついている。 光よりも遅く運動する粒子については

$\displaystyle -ds^2 = d\tau^2 >0
$

が成り立つ。

物理法則を任意の慣性系で同じ形式で表すために、様々な物理量をローレンツ変換に対して四元ベクトル、またはテンソルとして振る舞うように定義する必要がある。 例えば、 ある慣性系 $ O$ で観測したとき、 粒子が $ \vu = dx^i/dx^0$ の三次元速度で運動しているとき、 その四元速度

$\displaystyle U^\alpha \equiv \di{x^\alpha}{\tau} =\frac{1}{\sqrt{1-\vu^2}} \di...
...gin{pmatrix}c   \vu \end{pmatrix} , \quad \gamma_u = \frac{1}{\sqrt{1-\vu^2}}$ (23)

とすれば、 固有時間 $ d\tau$ はスカラーであり、 $ dx^\alpha$ は反変成分として振る舞う四元ベクトルであるから、 $ U^\alpha$ も四元ベクトルの反変成分として振る舞うことになる。 よってこれを四元速度ベクトルの定義とする。

今の場合、四元速度ベクトル $ U^\alpha$ のローレンツ変換は

$\displaystyle \begin{pmatrix}
\overline{U}^0 \\
\overline{U}^1 \\
\overline...
...& 1
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
U^0 \\
U^1 \\
U^2 \\
U^3
\end{pmatrix}
$

と書け、また定義から

$\displaystyle U^\alpha = \gamma_u
\begin{pmatrix}
1 \\
\vu
\end{pmatrix},\q...
...e{U}^\alpha = \gamma_{\bar{u}}
\begin{pmatrix}
1 \\
\bar{\vu}
\end{pmatrix}$

である。 これより、

$\displaystyle \overline{U}^0$ % latex2html id marker 5019
$\displaystyle = \gamma_{\bar{u}} = \gamma_u U^0 -\g...
...ad \therefore   \frac{\gamma_u \gamma_v }{\gamma_{\bar{u}}} = \frac{1}{1-vu^1}$    

% latex2html id marker 5021
$\displaystyle \overline{U}^1 = \gamma_{\bar{u}} \ba...
...u + \gamma_v \gamma_u u^1 \qquad
\therefore 
\bar{u}^1 = \frac{u^1-v}{1-vu^1}
$

% latex2html id marker 5023
$\displaystyle \overline{U}^2 = \gamma_{\bar{u}}\bar...
...a_u u^2 \qquad \therefore  
\bar{u}^2 = \frac{1}{\gamma_v} \frac{u^2}{1-vu^1}
$

% latex2html id marker 5025
$\displaystyle \overline{U}^3 = \gamma_{\bar{u}}\bar...
...a_u u^3 \qquad \therefore  
\bar{u}^3 = \frac{1}{\gamma_v} \frac{u^3}{1-vu^1}
$

を得るが、これはEq.(21) と一致している。

fat-cat 平成16年11月28日