2 気体の圧力と内部エネルギー

さて以上の定義を踏まえて、 熱運動している気体粒子が気体中の仮想的な面に衝突することで、 単位時間当たり単位面積に与える運動量として気体の圧力を計算する。 仮想面の法線の方向を $ z$軸にとる球座標を考える。 $ z$ 軸から $ \theta$ だけ傾いた方向から面に衝突して、 $ z$ 軸の反対側に同じ $ \theta$ だけ傾いた方向に跳ね返されるとき、 一個の粒子が面に与える運動量は $ 2p\cos\theta$ であり、単位時間当たり単位面積に衝突する粒子は、 体積 $ v_p \cos\theta$ 中に含まれる。

\includegraphics[width=6.77truecm,scale=1.1]{youki.eps} \includegraphics[width=7.77truecm,scale=1.1]{entou.eps}

運動量空間の微小体積中にある粒子で、 単位時間当たり単位面積に衝突する粒子の数は

$\displaystyle \bar{n} \left(\vec{p}\right)p^2 \,dpd\Omega = \frac{1}{4\pi} n(p) dp d\Omega
$

に体積 $ v_p \cos\theta$ を掛けたものである。 従って気体中の仮想的な面に働く圧力の大きさは

$\displaystyle P=\int_0^{\pi/2}\sin\theta \,d\theta\int_0^{2\pi} d\phi \int_0^\infty dp\, \frac{1}{4\pi}2p \cos\theta\,v_p \cos\theta \,n(p)
$

で計算されることになる。 ここで $ v_p$は 気体粒子の運動量 $ p$ に対する運動速度である。



Subsections
fat-cat 平成16年11月28日