1 分布関数

熱平衡にある体積 $ V$ の容器の中に $ N$ 個の気体粒子があるとする。 位相空間の単位体積当たりの粒子数を $ \bar{n}\left(\vec{r},\vec{p}\right)$ と書けば、 位相空間内の微小体積中 $ d^3\vec{x}\,d^3\vec{p}$ に存在する粒子数は、 $ \bar{n}\left(\vec{x},\vec{p}\right)\,d^3\vec{x}\,d^3\vec{p}$ で与えられることになる。 $ \bar{n}\left(\vec{x},\vec{p}\right)$分布関数などと呼ばれる。

分布関数 $ \bar{n}\left(\vec{x},\vec{p}\right)$ が空間的に一様であるとすれば $ \bar{n}\left(\vec{x},\vec{p}\right)=\bar{n}\left(\vec{p}\right)$ と書くことができるから、 位相空間について積分して

$\displaystyle N= \int d^3\vec{p}\int_V d^3\vec{x} \,\,\, \bar{n}\left(\vec{x},\vec{p}\right) = V \int d^3\vec{p}\,\,\, \bar{n}\left(\vec{p}\right)$ (1)

を得る。 $ \bar{n}\left(\vec{p}\right)$ が運動量空間について等方的であるとすれば、 $ \bar{n}\left(\vec{p}\right)$ は運動量の絶対値 $ p=\vert\vec{p}\vert$ のみに依存し、

$\displaystyle n_0 \equiv \frac{N}{V} = \int d^3\vec{p}\,\,\, \bar{n}\left(\vec{...
...mega\,\,\,\bar{n}\left(\vec{p}\right)=\int_{0}^\infty \bar{n}({p})4\pi p^2\,dp
$

となる。 ここで $ d\Omega=\sin\theta d\theta d\phi$ は微小立体角である。 このとき運動量の絶対値 $ p$$ p$$ p+dp$ との間にある粒子の数密度を $ n(p)$ と書けば、 $ n(p)=4\pi p^2 \bar{n}(p)$ で与えられる。 分布関数 $ n(p)$ は一般に、 粒子の運動量 $ p$ だけに依存するだけでなく、 温度 $ T$ や化学ポテンシャル $ \mu$ にも依存するので、 上の式は

$\displaystyle n_0\left(\mu,T\right) = \int_0^\infty n(p) dp$ (2)

と書くことができる。 上の分布関数 $ n(p)$ は全立体角について積分したものになっているので、 運動量の絶対値 $ p$$ p+dp$ との間にある単位立体角当たりの粒子数密度は、 $ n(p)/4\pi$ で与えられる。

fat-cat 平成16年11月28日