「あかり」遠赤外線宇宙地図

 

この地図は、日本の赤外線観測衛星「あかり」が取得したデータを元に、データ取得から6年以上の歳月を掛けて作成した遠赤外線宇宙地図の第一版です。この地図は、私達東北大学のグループもメンバーとして活動する日本のグループが作成しました。

「あかり」は、平成18年2月22日に鹿児島県内之浦宇宙観測所から打ち上げられた宇宙科学研究所の赤外線天文衛星です。

  解析ツール完成後、全天地図作成計算処理は、東北大学の私達のグループが所有する専用スーパーコンピューターで半年掛けて行いました。設定を完了して、さあ処理を始めるぞ!という時に東日本大震災が発生しコンピューターが倒壊するという大ピンチもありましたが、何とか昨年末に第一版を完成させることができました。




震災直後(左)

復興後(右)




 

   



   遠赤外線は主に宇宙の塵=宇宙塵(ウチュウジン)が放つ光です。つまり遠赤外線宇宙地図は、宇宙塵の分布の様子を示す地図と捉えることができます。


 左の図は私達が暮らす「天の川銀河系」を天の北極から眺めた時の模式図です。Sunと書いた位置が太陽系がある位置です。 

 








   

  


  左の写真は、渦巻き銀河NGC4565の可視  光で撮った写真です。天の川銀河系を真横から見たらこんな感じで見えることでしょう。

  私達の太陽系は上から眺めたら渦巻き状のパターンが見える薄い円盤の中に存在しています。冒頭の遠赤外線宇宙地図は、太陽系から遠赤外線を感じる眼鏡で宇宙全体を見渡したパノラマです。中央に走る薄く明るい部分が銀河系円盤部です。その中心が銀河中心です。円盤部を挟んで上側が天の北極側、下側が天の南極側です。遠赤外線を放つ宇宙塵は、銀河円盤部の外にも大量に立ちこめていることが、この宇宙地図から読み取れます。宇宙のどの方向を見ても、影響の大小の差こそあれ、宇宙塵により光が遮られているようです。