Subsections
等方的な速度分布を持ったLorentz factor
の電子によるinverse conmton scatteringで増加した電磁波の放射強度の平均値を、逆コンプトン放射強度と定義する。
逆コンプトン放射強度が
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(1) |
で与えられることを示せ。但し光は波として扱い、放射強度はLiénardの公式
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(2) |
を用いて計算せよ。
トムソン散乱を扱ったときと同じように、系には特別な方向が存在しないので、結果は電磁波の偏光状態には依存しない。ここでは簡単化の為直線偏光しているものとして扱う。
電磁波の進行方向を
とし、電磁場の電場を
、磁場を
とする。但しである。
散乱前の電子の速度を
とする。ここでは速度と電磁波の進行方向とが成す角度、はx-y平面への速度ベクトルの射影方位角である。
図:
速度で運動する電子よる電磁波の散乱
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相対論的な電子の運動方程式は過去のレポートで導出したように
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(3) |
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(4) |
と書ける。Eq.(3)より
であるから、これをEq.(4)に代入して、
を得る。これより
である。以上より
となる。これをEq.(2)に代入し、整理すると、
ここで、
と書ける。ここで立体角積分を行って方向について平均化するのだが、Eq.(2)は既に立体角積分が済んでいる形になっているので、ここでは
で積分し規格化しなければならない。計算すると
であるから、結局
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(5) |
を得る。電子により単位時間当たりに散乱された電磁波の散乱前のエネルギー
は
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(6) |
であるから、電子によるinverse conmton scatteringで増加した電磁波の放射強度の平均値である逆コンプトン放射強度
は
から
を引くことで、
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(7) |
となるので、確かにEq.(1)で与えられることが分かる。
著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp