Subsections

2-1

真空中を伝播する電磁波の四元ポテンシャルが満たす方程式は

$\displaystyle \Nabla^2 \phi -\frac{1}{c^2} \dell{\phi}{t} = -4\pi \rho_e$ (43)

$\displaystyle \Nabla^2 \vA -\frac{1}{c^2} \dell{\vA}{t} = -\frac{4\pi}{c}\vj_e$ (44)

であった。但しここでは四元ポテンシャルがLorentz condition

$\displaystyle \Nabla\cdot \vA +\frac{1}{c}\del{\phi}{t} = 0$ (45)

を満たすようにgaugeを選択した。屈折率$ n_r$の一様媒質中を伝播する電磁波の満たすべき方程式と、Lorentz conditionに対応する条件を、Eq.(43),(44),(45)から類推して答えよ。

2-1解答

Eq.(43),(44)左辺のダランベルシアンは

$\displaystyle \square = \Nabla^2 -\frac{1}{c^2} \deLL{t} = \Nabla^2 -\frac{1}{v^2}\deLL{t} \quad \Longrightarrow \quad v^2 = c^2$ (46)

という構造をしている。屈折率$ n_r$の媒質中では光速は$ c/n_r$になるので$ v=c/n_r$と書ける。よってこの時のダランベルシアンは

$\displaystyle \square = \Nabla^2 -\frac{n_r^2}{c^2}\deLL{t}$ (47)

と書ける。このことより真空中での関係式を $ c\to c/n_r$で変換すれば、屈折率$ n_r$の媒質中の関係式になることが類推される。よって、屈折率$ n_r$の媒質中での方程式は

$\displaystyle \Nabla^2 \phi -\frac{n_r^2}{c^2} \dell{\phi}{t} = -4\pi \rho_e$ (48)

$\displaystyle \Nabla^2 \vA -\frac{n_r^2}{c^2} \dell{\vA}{t} = -\frac{4\pi n_r}{c}\vj_e$ (49)

$\displaystyle \Nabla\cdot \vA +\frac{n_r}{c}\del{\phi}{t} = 0$ (50)

となる。

著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp