1-3

右回り円偏光、左回り円偏光でどちらの方が位相速度が速いか。又波長はどちらの方が長いか。

1-3解答

外部磁場による電子のサイクロトロン運動の回転方向は、左回り円偏光の電場回転方向と一致しており、電磁波の入射波はサイクロトロン運動を助ける方向に電子に力を及ぼす。 同様に考えれば、逆に右回りの円偏光は回転を弱める方向に力を及ぼす。この違いにより、偏光の回転速度が違ってくる。 $\omega\gg \omega_{{\rm ce}}$の場合、右回り左回り円偏光の波数は分散関係式より

$$k_\pm = \frac{\omega}{c} \sqrt{ 1-\frac{\omega_{\rm pe}^2}{\omega... ...{\rm pe}^2}{2\omega^2} \left( 1\pm\frac{\omega_{\rm ce}}{\omega}\right) \right]$$ (6)

である。よって、左回り円偏光電磁波の波長の方が、右回り円偏光電磁波の波長よりも長いことが分かる。

磁場を伴ったプラズマ中を$d$進んだ時の電磁波の位相の進みは右回り左回りそれぞれで、

$$\phi_\pm = \int_0^d k_\pm\,dl$$ (7)

と書ける。これより$k_+<k_-$であるから $\phi_+<\phi_-$である。 これは左回り円偏光の方が少ない位相変化でプラズマを抜けることを示しており、つまり位相速度が大きいことを示している。

脚注

... これは左回り円偏光の方が少ない位相変化でプラズマを抜けることを示しており、つまり位相速度が大きいことを示している

$v_{\rm phase}=\omega/k\propto k^{-1}\propto \lambda$

著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp