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2-1

中心に点電荷$ q_0$が存在する時のプラズマ中の静電場ポテンシャルは

$\displaystyle \phi(r) = \frac{q_0}{r} e^{-r/\lambda_D}$ (5)

と書ける。空間全体で積分した時、全電荷が零であることを示せ。

2-1解答

前回の課題で導出したように電荷密度は

$\displaystyle n_e ({\bf r}) = n_0 e^{\frac{e\phi({\bf r})}{k_B T}} \sim n_0 \left[ 1+\frac{e\phi({\bf r})}{k_B T}\right]$ (6)

と書ける。ここで$ n_0$は無限遠での電荷の密度である。 これを空間全体で積分すると[*]

$\displaystyle \int_{V_\varepsilon} d^3 r\, n_e(r)$ $\displaystyle = \lim_{\varepsilon\to +0}\int_{\varepsilon}^{\infty} 4\pi r^2 \,...
...}^\infty dr \left( -4\pi r^2 e^2 n_0 \frac{q_0 e^{-r/\lambda_D}}{r k_BT}\right)$    
  $\displaystyle = -q_0 \int_{+0}^\infty dr\, r e^{-r/\lambda_D} \frac{4\pi e^2 n_...
..., \frac{r}{\lambda_D} e^{-r/\lambda_D} =-q_0 \int_{+0}^\infty dr' \, r' e^{-r'}$    
  $\displaystyle = q_0 \int_{+0}^{\infty} -e^{-r'}dr' =q_0\left[e^{-r'}\right]_{+0}^\infty$    
  $\displaystyle =-q_0$    

となる。これは中心を除く全空間での電荷である。よってから中心の電荷が$ q_0$より、全電荷は零であることが分かる。



脚注

... これを空間全体で積分すると[*]
中心の点電荷が存在する点は除く。なぜなら $ \lim_{r\to +0}\phi(r)\to +\infty$、及び中心にはソースとなる点電荷$ +q_0$がある。 計算上このように極限操作する必要はないが、物理的な考察の元でこのようにする。
著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp