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4-1

この系のdipole momentの時間二階微分が零であることを示せ。

4-1解答

この系のdipole momentは定義より

$\displaystyle {\bf d} = \sum_{i} q_i {\bf r}_i
= -e \sum_{i} {\bf r}_i
= - e \left({\bf r}_1 +{\bf r}_2\right)
$

となる。また重心$ {\bf r}$

$\displaystyle {\bf r} = \frac{m_e {\bf r}_1 +m_e {\bf r}_2}{m_e + m_e }
=\frac{{\bf r}_1 +{\bf r}_2}{2}
$

と書ける。よって

$\displaystyle {\bf d} = -2 e {\bf r}
$

であるから、両辺を時間で二回微分すると

$\displaystyle \ddot{{\bf d}} = -2e \ddot{{\bf r}}
$

を得る。

二つの電子がお互いにクーロン力で影響を及ぼしあい運動している系では、重心系から見ればクーロン力は内力である為、重心系に外力が働かない限り、重心系は等速直線運動をするだけである。 よって $ \ddot{{\bf r}} = 0$であるから、 $ \ddot{{\bf d}} = 0$となり、この系に於いてdipole momentの時間二階部分は零であることが分かる。

著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp