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1-2-(d) 散乱波の偏光

$ \vn$方向に散乱された電磁波の$ \va_1$ 方向、$ \va_2$方向の電場の位相差 $ \delta_2-\delta_1$ 、及び電場の振幅を求めよ。 四つのStokes parametersを求めよ。偏光度を求めよ。最後に$ \theta$ $ 0 \sim \pi$まで変化させるにつれて、偏光の様子がどう変化するか説明せよ。

1-2-(d)解答

電場の位相差 $ \delta_2-\delta_1$はEq.(9)より

$\displaystyle \delta_2-\delta_1=-\frac{\pi}{2}$ (15)

となる。$ E_1,E_2$はEq.(13),(14)の様に書けるので、振幅$ a_1,a_2$

$\displaystyle a_1$ $\displaystyle = \frac{e^2E_0}{m_e Rc^2}$ (16)
$\displaystyle a_2$ $\displaystyle =\frac{e^2E_0}{m_e Rc^2} \cos\theta$ (17)

と書くことができる。よってStokes parametersは

$\displaystyle I_{\rm l}$ $\displaystyle =a_1^2+a_2^2= \left( \frac{e^2 E_0}{Rm_e c^2}\right)^2 (1+\cos^2\theta)$ (18)
$\displaystyle Q_{\rm l}$ $\displaystyle =a_1^2-a_2^2= \left( \frac{e^2 E_0}{Rm_e c^2}\right)^2 (1-\cos^2\theta)$ (19)
$\displaystyle U_{\rm l}$ $\displaystyle = 2a_1a_2\cos\delta =0$ (20)
$\displaystyle V_{\rm l}$ $\displaystyle = 2a_1 a_2\sin\delta = -2 \left( \frac{e^2 E_0}{Rm_e c^2}\right)^2 \cos\theta$ (21)

となり、偏光度$ \Pi$

$\displaystyle \Pi_{\rm l} = \frac{\sqrt{Q^2+U^2+V^2}}{I} = \frac{\sqrt{a_1^4+a_2^4-2a_1^2a_2^2+4a_1^2a_2^2}}{a_1^2+a_2^2}=1$ (22)

と計算される。

偏光の様子を図示しておく。

図 2: 左:$ \theta =0$ [左回り円偏光]、右: $ 0<\theta <\pi /2$ [左回り楕円偏光]
\includegraphics[width=6.8truecm,scale=1.1]{henkou_1.eps} \includegraphics[width=6.8truecm,scale=1.1]{henkou_2.eps}

図 3: $ \theta =\pi /2$ [$ \va_1$方向直線偏光]
\includegraphics[width=6.8truecm,scale=1.1]{henkou_0.eps}

図 4: 左: $ \pi /2 < \theta <\pi $ [右回り楕円偏光]、右: $ \theta =\pi $ [右回り円偏光]
\includegraphics[width=6.8truecm,scale=1.1]{henkou_3.eps} \includegraphics[width=6.8truecm,scale=1.1]{henkou_4.eps}

Eq.(13),(14)より、$ \theta =0$のとき$ a_1=a_2$であるから左回りの円偏光である。 $ 0<\theta <\pi /2$のとき$ a_1>a_2$であるから左回りの楕円偏光である。 $ \theta =\pi /2$のとき$ a_2=0$であるから、$ \va$方向の直線偏光である。 $ \pi /2 < \theta <\pi $のとき$ a_1>-a_2$であるから、右回りの楕円偏光である。 $ \theta =\pi $のとき$ a_1=-a_2$であるから、右回りの円偏光である。

著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp