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1-1

電荷密度の保存

$\displaystyle \del{\rho}{t} +\Nabla \cdot \vj = 0$ (1)

電荷の保存を表すことを、積分形の電荷保存則を用いて示せ。

1-1解答

ある任意の体積を$ V$、その表面積を$ S$としその表面上外側に向いた法線ベクトルに平行で、大きさが$ dS$の微小面積要素ベクトルを$ d{\bf S}$とする。 Eq.(1)を体積積分すると

$\displaystyle \int_{V} \left( \del{\rho}{t} +\Nabla \cdot \vj \right)dV =0
$

となるが、このとき電荷密度の時間変化の体積積分は

$\displaystyle \int_{V} \del{\rho}{t} dV =\frac{\partial}{\partial t} \int_V \rho dV = \del{Q}{t}
$

となる。ここで$ Q$$ V$中に含まれる全電荷である。 また、ガウスの発散定理より、

$\displaystyle \int_V \Nabla \cdot \vj dV = \int_S \vj \cdot d{\bf S}
$

となり、これは$ d{\bf S}$の定義から$ V$の内側から外側に出ていく電流密度フラックスの総和、つまり電流$ I$を表している。 よって、

$\displaystyle \del{Q}{t} + \int_S \vj \cdot d{\bf S} =0\, ;\quad \left[\, \del{Q}{t}+I =0 \, \right]$ (2)

は積分形の電荷の保存則を表す。 よってこの式の元となるEq.(1)も又電荷の保存を表していることになる。

著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp