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2-2

周波数分布は、中心周波数$ \omega$の廻りで $ \Delta \omega \sim 2\pi /\Delta t$程度の広がりを持つ。 この物理的理由を波の干渉を用いて定性的に説明せよ。 ここで $ \Delta t\sim 2\pi/\Delta \omega$coherent time(可干渉時間)という。

2-2解答

無限の過去から無限の未来にわたってEq.(9)が観測できれば、観測される周波数に広がりはなく、 周波数$ \omega_0$の完全な単色光として観測される。しかし有限の時間$ \Delta t$の間のみの観測ではそのようにはならない[*]。 この時の周波数の広がりを $ \Delta \omega$としてこれを評価する。 このとき最大の周波数は $ \omega_0+\Delta \omega/2$と書き、 最小の周波数は $ \omega_0-\Delta \omega/2$と書く。 ある位相の波をうち消す波の位相は、もとの波の位相に比べ$ \pi$だけずれている必要があるが、 全ての位相の波についてこれが成り立つのは波の位相が$ 2\pi$で一回りするので、 全ての周波数の波の位相が0から$ 2\pi$の範囲に分布したときである。 よって、

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$\displaystyle \left( \omega_0 +\frac{\Delta \omega}...
...)\Delta t = 2 \pi,
\quad
\therefore\,
\Delta \omega \sim \frac{2\pi}{\Delta t}
$

となる。これは可干渉時間と相補的な関係になっている。

図 3: coherent time: $ t\sim 0$の時と $ t=2\pi /\Delta \omega =\pi $の時での比較。
\includegraphics[width=7.50truecm,scale=1.1]{coherent_time_origine.eps}    \includegraphics[width=7.50truecm,scale=1.1]{coherent_time_2.eps}



脚注

...の間のみの観測ではそのようにはならない[*]
Fourier変換の原理的な制限。不確定性原理。
著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp