例えば、粘性流体の運動方程式をベクトルやテンソルを用いて表せば
![$\displaystyle \rho \left[ \frac{\partial \vec{v}}{\partial t} +\left( \vec{v} \...
...f{\nabla}\Psi +\mathbf{\nabla}\cdot \overleftrightarrow{ \mathstrut{ \sigma } }$](Tensor-img1.png) |
(1) |
と書くことができ(ここで
は粘性応力テンソル)、デカルト座標系
では
![$\displaystyle \rho \left( \frac{\partial v^i}{\partial t} + v^k \frac{\partial ...
... \frac{\partial \Psi}{\partial x^i} + \frac{\partial \sigma_{ik}}{\partial x^k}$](Tensor-img4.png) |
(2) |
と成分を使って表すことができる。
ここで
![$\displaystyle \sigma_{ik} = \eta\left( \frac{\partial v^i}{\partial x^k} +\frac...
...{\partial x^l} \right) + \zeta \delta_{ik} \frac{\partial v^l}{\partial x^l}$](Tensor-img5.png) |
(3) |
は粘性応力テンソルであり、
は粘性係数で、
圧力と温度の関数であると考える。
また簡単のため添え字については以下の様なルールに従っている。
- 上下一対になって表れる添え字に関しては和をとるものとする。
- 両辺とも同じ場所に現れる添え字に関しては和をとらないものとする。
以上のような添え字に関するルールをアインシュタインの縮約規則といい、
特に断りがない限り、上付きと下付の同じ添え字のペアが現れたときには、添えに関して和をとる(「縮約」する)ものとし、和記号を省くという約束である。
例えば
![$\displaystyle v^k \frac{\partial v^i}{\partial x^k} \equiv \sum_{k=1}^{3} v^k \...
...tial v^l}{\partial x^l} \equiv \sum_{l=1}^{3} \frac{\partial v^l}{\partial x^l}$](Tensor-img7.png) |
(4) |
などとする。
デカルト座標系の場合を除いては、
この運動方程式を任意の曲線座標系でベクトルやテンソルの成分を用いて書き表すことは必ずしも容易ではない。
従ってここでは、流体の運動方程式をベクトルやテンソルの成分を用いて任意の極座標系で成立するような形に表すことを考える。
今、ベクトルやテンソルの成分表示を考えるとき、
ベクトルを任意の座標間の座標変換に対してどのようにその成分が変換されるかで区別する。
二つの座標系
と
を考え、
それぞれが
![$\displaystyle \bar{x}^i= \bar{x}^i\left(x^1,x^2,x^3\right), x^i = x^i\left(\bar{x}^1,\bar{x}^2,\bar{x}^3\right)$](Tensor-img10.png) |
(5) |
で関係しているとする。
一つのベクトル
について反変ベクトル(contravariant) 成分と 共変ベクトル(covariant) 成分とを区別して、
それぞれの座標系に於ける成分
と
が、
座標変換
に対して
![$\displaystyle \bar{\xi}^i = \frac{\partial \bar{x}^i}{\partial x^j} \xi^j$](Tensor-img15.png) |
(6) |
の様に結びつけられるとき、
このベクトル成分を反変ベクトル成分と呼び、
上付きの添え字を用いて
と表す。
同様に
と
が、
![$\displaystyle \bar{\xi}_i = \frac{\partial {x}^j}{\partial \bar{x}^i} \xi_j$](Tensor-img19.png) |
(7) |
の様に結びつけられるとき、このベクトル成分を共変ベクトル成分と呼び、
下付の添え字を用いて
と表すものとする。
また、
を単に反変ベクトル、共変ベクトルなどと言ったりする。
スカラー関数
の空間微分
は、二つの座標系の間で常に
が成り立つものとすると、微分の chain rule より
であるから、これは式(7) の形と同じなので共変ベクトルであることが分かる。
また座標二点間の微小間隔
は全微分であるから
となり、反変ベクトルであることが分かる。
従ってこの両辺を時間
で微分した
は反変ベクトルである。
fat-cat
平成16年11月29日