4 四元力ベクトル

もし四元力ベクトル $ F^\alpha$ を導入して粒子の運動方程式が

$\displaystyle F^\alpha = ma^\alpha = \di{p^\alpha}{\tau}= m \dii{x^\alpha}{\tau}$ (29)

と定義できれば、 この両辺は慣性系間のローレンツ変換に対して同じように変換されるから、 任意の慣性系で成立する運動方程式となる。 これは任意の慣性系で物理法則--今の場合、運動方程式--を同じ形式で表現するという要請に対応している。

粒子の相対論的運動方程式を求めるには、 四元力ベクトル $ F^\alpha$ と Newton 力学に於ける力ベクトル $ K^j$ との関係を求める必要がある。

今、粒子が速度 $ \vu$ で運動している様に見える慣性系に於いて、 Eq.(29) の空間成分を

$\displaystyle \di{p^j}{x^0} = \di{p^j}{t} = \frac{1}{\gamma_u} F^j = K^j$ (30)

と書き換えたときの右辺の $ \gamma_u^{-1}F^j$ を Newton 力学に於ける力 $ K^j$ であると仮定する。 またEq.(28) から

$\displaystyle U_\alpha F^\alpha=0
$

であり、Eq.(30) を使って

$\displaystyle U_\alpha F^\alpha
= U_0 F^0 + U_j F^j
= -\gamma_u F^0 + \gamma_u ...
...F \right)
=-\gamma_u^2 \di{p^0}{t} + \gamma_u^2 \left(\vu \cdot \vK \right)
=0
$

と書けることから、

$\displaystyle \di{p^0}{t} = \di{E}{t}=\vu \cdot \vK \quad \hbox{または、}\quad F^0 = \gamma_u \left( \vu \cdot \vK\right)$ (31)

を得る。 これは瞬間的に粒子が静止($ u^j=0$) しているような慣性系 $ \overline{S}$ を考えたとき、 従って

$\displaystyle d\bar{t} = d\tau \quad \hbox{そして、}\quad
\gamma_u=1
$

のとき、その系では、 四元力ベクトル $ \overline{F}^j$ が Newton 力学に於ける $ \overline{K}^j$ で与えられると仮定して、

$\displaystyle \di{\bar{p}^j}{\bar{t}} = \overline{K}^j \quad \hbox{そして、}\quad \di{\bar{p}^0}{\bar{t}} = \overline{F}^0 = 0$ (32)

が成り立つと仮定することに対応する。 Eq.(31) の右辺は仕事率である。 Eq.(30)とEq.(31) が四元力ベクトル $ F^\alpha$ と Newton 力学に於ける力ベクトル $ K^j$ との関係

$\displaystyle F^\alpha = \gamma_u \Big( \left(\vu \cdot \vK \right) ,\vK\Big), ...
..._u \vK \right) =\left(\frac{\gamma_u}{c} \di{E}{t},\gamma_u \di{\vp}{t} \right)$ (33)

を与える。

fat-cat 平成16年11月28日