2 角運動量、質量、Roche Robe 半径の関係式

(25) より、 $ J$ を時間微分すると

$\displaystyle \dot{J}$ $\displaystyle = \dot{M_1}M_2 \sqrt{\frac{Ga}{M}} +M_1\dot{M_2} \sqrt{\frac{Ga}{...
...t{M_1} M_2 +M_1 \dot{M}_2 +M_1M_2 \frac{\dot{a}}{2a}\right) \sqrt{\frac{Ga}{M}}$    

となるので、これをより $ 2\dot{J}/J$ を計算すると

$\displaystyle \frac{2\dot{J}}{J}$ $\displaystyle = \frac{2 \dot{M}_1 M_2 +2 M_1 \dot{M}_2 +M_1M_2 \dfrac{\dot{a}}{...
...dot{M}_2}{M_2} +\frac{\dot{a}}{a} \qquad \because \quad \dot{M}_1 +\dot{M}_2 =0$    
  $\displaystyle =-2 \frac{(-\dot{M}_2)}{M_2} \left(1-\frac{M_2}{M_1}\right) +\frac{\dot{a}}{a}$    

となるので

$\displaystyle \frac{\dot{a}}{a} = \frac{2\dot{J}}{J} + 2\frac{(-\dot{M}_2)}{M_2} \left(1-\frac{M_2}{M_1}\right)$ (26)

と書ける。

だいたい $ 0.1 \leq q \leq 0.8$ のとき、 星は $ M_2$ の周りで Roche Robe の半径 $ R_2$ がよい近似で

$\displaystyle \frac{R_2}{a} = 0.462   \left(\frac{M_2}{M}\right)^{1/3}$ (27)

で与えられることが知られている。 このとき

$\displaystyle J= M_1 M_2 \sqrt{\frac{G}{M} \frac{R_2}{0.462} \left(\frac{M}{M_2}\right)^{1/3}}
= M_1 M_2^{5/6} \sqrt{\frac{GR_2}{M^{2/3}  0.462}}
$

であるから、 先ほどと同じように $ J$ を時間で微分すると

$\displaystyle \dot{J}$ $\displaystyle = \dot{M}_1M_2^{5/6} \sqrt{\frac{GR_2}{0.462 M^{2/3}}} +\frac{5}...
...c{1}{2}M_1 M_2^{5/6} \sqrt{\frac{GR_2}{0.462 M^{2/3}}}  \frac{\dot{R}_2}{R_2}$    
  $\displaystyle =\left( \dot{M}_1 M_2^{5/6} +\frac{5}{6} M_1 M_2^{-1/6} \dot{M}_2...
...} M_1 M_2^{5/6} \frac{\dot{R}_2}{R_2}\right) \sqrt{\frac{GR_2}{0.462 M^{2/3}}}$    

となり、

$\displaystyle \frac{2\dot{J}}{J}$ $\displaystyle = \frac{ 2\dot{M}_1M_2^{5/6} + 2 \dfrac{5}{6} M_1 M_2^{-1/6} \dot...
... M_1 M_2^{-1/6} \dot{M}_2 +M_1M_2^{5/6} \dfrac{\dot{R}_2}{R_2} }{M_1 M_2^{5/6}}$    
  $\displaystyle = - \frac{2(-\dot{M}_2)}{M_2} \left(\frac{5}{6}-\frac{M_2}{M_1}\right) +\frac{\dot{R}_2}{R_2}$    

と整理できるので、結局

$\displaystyle \frac{\dot{R}_2}{R_2} =\frac{2\dot{J}}{J} +\frac{2(-\dot{M}_2)}{M_2}\left(\frac{5}{6} -\frac{M_2}{M_1}\right)$ (28)

を得る。

もし角運動量が連星系から外に失われないとすれば $ \dot{J}=0$ である。 このとき、 軽い方の星から重い方の星へ物質の流れがあるときは、 軌道半径は増加し、 逆に重い方の星から軽い方の星に物質の流れがあるときは、 軌道半径が減少することが分かる。 また $ q>5/6$ であれば、 質量を失っている星 $ M_2$ の周りの Roche Robe の半径 $ R_2$ が収縮することになり、 星 $ M_2$ の半径がそれよりも速く収縮しない限り、 質量の流れは Roche Robe の半径 $ R_2$ の収縮により、 より激しくなることが分かる。

fat-cat 平成16年11月30日