1 Lane-Emden equation積分

さて

$\displaystyle y_1 = \phi,\qquad y_2 =\di{\phi}{\xi}$ (26)

とすれば、Lane-Emden equation は

$\displaystyle \di{y_1}{\xi}=y_2=f_1(y_2),\qquad \di{y_2}{\xi}= -\left(y_1\right)^n -\frac{2}{\xi} \,y_2 = f_2(\xi,y_1,y_2)$ (27)

と書ける。これを積分するとき、 微分方程式中に $ 1/\xi$ が含まれているので、 これを原点 $ \xi=0$ から始めて数値積分するのは困難である。 この困難を避けるために普通とられる手段は、 ある十分小さな $ \xi=\xi_0 \ll 1$ から積分を始めることである。 従って、原点近傍での展開式を用いて

$\displaystyle y_1(\xi_0)=\phi(\xi_0)=1-\frac{1}{6}\xi_0^2 +\frac{n}{120}\xi_0^4,\qquad y_2(\xi_0) =-\frac{1}{3}\xi_0 + \frac{n}{30}\xi_0^3$ (28)

として、$ \xi=\xi_0$ に於ける $ y_1(\xi_0)$ $ y_2(\xi_0)$ とを求めてこれを積分の初期値とする。 この初期値を使って中心から外に向かって積分を行い最初の零点 $ \xi=\xi_1$ で積分を停止する。 ここで零点は $ y_1=\phi(\xi_1)=0$ を満たす $ \xi_1$ である。 積分の幅 $ h$ は等間隔にとっても良いかもしれないが、 今の場合求める関数は途中に零点(節)を持たないことから、 ある小さな数 $ e_i$ について

$\displaystyle \left\vert\frac{\Delta y_i}{y_i}\right\vert= \left\vert\frac{f_i(x,{\vy})\,h}{y_i}\right\vert \leq e_i$ (29)

を満たす最大の $ h$ を求めて積分の刻み幅とするのも一つの方法である。 こうすることで星の表面での密度変化や圧力の $ \xi$ についての急激な変化も正しく追うことができるようになる。 また、星の表面は、やはりある小さな $ \epsilon$ について $ \left\vert y_i(\xi)\right\vert<\epsilon$ となるような $ \xi$ として星の表面 $ \xi_1$ を決めるのが適当である。

式(29)を満たす最大の $ h$ を求めることは

$\displaystyle h_i =\left\vert\frac{y_i}{f_i(x,{\vy})}\right\vert e_i
$

なる $ h_i\,(i=1,2,\dots)$ について

$\displaystyle h= \min\left(h_1,h_2,\dots h_i\right)
$

とすることを意味する。もし $ y_i$ の零点を通過するような解を求めるときには、 幅 $ h$ に適当な最小値を課す必要がある。

fat-cat 平成16年11月30日