3 フーリエ級数の収束

図3,6,9を見比べると3,6,9の順に$ t=0$でのフーリエ係数がもとの関数に近くなってきていることが分かる。 これは$ C_n$$ 1/n$の何乗に比例しているかによっても直感的に分かる($ f_1$では$ 1/n$$ f_2$では$ 1/n^2$$ f_3$では$ 1/n^3$にそれぞれ比例している。)。

先にも述べたようにフーリエ級数が $ n\to\infty$でもとの関数に収束するかは一般には分からない。 $ f_1$$ f_2,f_3$との違いを考えると、$ f_1$区分的に不連続であり、$ f_2,f_3$区分的に連続であることが挙げられる。 このことより関数の連続性がフーリエ係数の収束に大きな影響を与えることが予想される。 一般に区分的に連続な関数のフーリエ係数は零に収束するが、 不連続な場合はその様にならない。 $ f_2$$ f_3$の関係を考えると、 実は $ f'_3=f_2,f_3=\int f_2 dt$であることが分かる。 そして又、フーリエ係数の間にも、この関係が成り立っていることが分かる。 このときフーリエ級数が項別微分、項別積分可能であると言う。 $ f_2,f_3$は項別微分、項別積分の関係であるが$ f_1$$ f_2$との間にはそのような関係はない。

以上に述べたようなフーリエ級数の性質から、$ f_1$に関して、フーリエ係数がもとの関数に収束することはなく、 図3のように不連続点ではいつまでも振動が存在することになる。 これは項の数が増えるに従いだんだんもとの関数に近づき、 同時に振幅も小さくるが、 $ n\to\infty$の極限でも有限の振幅をを持つことを意味する。 これはいわば級数が不連続点を超えるときに、 その分だけ余分に飛躍をしていると言える。 フーリエ級数が不連続点付近でこのような現象を起こすことを発見者のギッブスにちなんでギッブスの現象と呼ぶ。

図 11: $ f_1,N=1{,}000$
\includegraphics[width=11.77truecm,scale=1.1]{N1000_1_0.eps}

図 12: $ f_1,N=10{,}000$
\includegraphics[width=11.77truecm,scale=1.1]{N10000_1_0.eps}

図 13: $ f_1,N=100{,}000$
\includegraphics[width=11.77truecm,scale=1.1]{N100000_1_0.eps}

fat-cat 平成17年2月18日