1 ローレンツ変換

平面電磁波は一般にその時間的依存性が $ \exp \left[ i\left(\vk \cdot \vx -\omega t\right)\right] $ で与えられる。 ここで $ \vk$ は波数ベクトルであり、 波長を $ \lambda$ とすれば $ \left\vert\vk\right\vert = 2\pi /\lambda$ である。 また $ \omega = 2\pi \nu$ は角振動数である。 真空中を伝播する電磁波については $ \left\vert\vk\right\vert = \omega/c$ が成り立っている。 例えば、 ある慣性系で見た平面電磁波の節は別の慣性系で見たときもやはり節になっていなければならないので、 平面電磁波の位相 $ \vk \cdot \vx -\omega t$ の値は座標系に依らず同じ値を持ち、 ローレンツ変換について不変であると考えることができる。 これは従って、

$\displaystyle k^\alpha \equiv \left( \frac{\omega}{c}, \vk\right)$ (1)

で定義される量がローレンツ変換に対して四元ベクトルとして振る舞うことを意味している。 実際、 位相 $ \vk \cdot \vx -\omega t$ を書き換えれば $ \eta_{\alpha \beta} k^\alpha x^\beta$ となる(計量は $ {\rm diag}(-+++)$ はとする)。 ここで $ x^\beta =\left( ct ,\vx\right)$ である。

二つの慣性系 $ O$$ O'$ とを考えて、 座標軸は平行に保ちながら $ x$ 軸に平行に $ O'$$ O$ に対して速度 $ v$ で等速直線運動しているとする。 このとき、 二つの慣性系で測った $ k^\alpha$$ k'^\alpha$ とがローレンツ変換によって

$\displaystyle k'^0 = \gamma \left(k^0 -\beta k^1\right),\quad k^0 = \gamma \left(k'^0 +\beta k'^1\right)$ (2)

$\displaystyle k'^1 = \gamma \left(k^1 -\beta k^0\right),\quad k^1 = \gamma \left(k'^1 +\beta k'^0\right)$ (3)

$\displaystyle k'^2 = k^2$ (4)

$\displaystyle k'^3= k^3$ (5)

で結びつけられることが分かる。 ここで $ \beta,\gamma$ は以下の通り。

$\displaystyle \beta = \frac{v}{c},\quad
\gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\beta^2}}
=\frac{1}{\sqrt{1-\dfrac{v^2}{c^2}}}
$

fat-cat 平成16年11月29日