連星系中の中性子星や白色矮星などコンパクト星の廻りには、降着円盤と呼ばれる回転ガス円盤が形成されることがある。
一方の星表面からガス物質がはがれてコンパクト星に落下するとき、 ガスが持っている角運動量のため自由落下ができずに、 ガス物質の回転運動の遠心力とコンパクト星による重力とが釣り合うようにして回転ガス円盤が形成されるのである。 このとき遠心力と重力の釣り合いから
円盤中のガスの回転速度はコンパクト星からの距離 に依存する差分回転となっているので、 円盤中半径方向に隣り合ったガスはお互いにこすりあい、 そのときの粘性による摩擦応力で円盤の内側から外側に向けて角運動量が輸送されることになる。 つまり、円盤中のガスは自分のもっている角運動量を外側のガスに渡しながら中心のコンパクト星に向かって落下していくのである。 また、差分回転による摩擦熱により円盤のガスの回転エネルギーが--元は重力エネルギー--熱エネルギーに変換され、 ガスの内部エネルギーに転化されガスの温度が上昇し、それが輻射として円盤表面から放出される。
宇宙で光っているものといえば、核融合によって光っている恒星であると考えるのが一般的だが、 より効率よくエネルギー開放しているのは降着円盤である。
fat-cat 平成17年1月9日