b講演
銀河02b 02/Aug 9:15-9:18
キャンセル
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銀河03b 02/Aug 9:18-9:21
古川 俊久 東北大学 M1 ストリームを用いたミッシングサテライトの検出
本発表は論文(Yoon et al,2011)のレビューである。
ダークマターの標準理論(ΛCDM)を用いた構造形成のモデルは、ラージスケールにおける構造形成に関しては説明できるとされている。
一方、銀河程度のスケールにおいては、銀河のダークマターハロー内に、数千個の構造体(サブハロー)が存在するという結果をもたらす。
これは、銀河系内で観測される衛星銀河の数に比べ遥かに大きな値となっている。
このような、理論と観測の矛盾(ミッシングサテライト問題)を考える際、矮小銀河や球状星団がホスト銀河からの潮汐力を受けることで形成されるストリームを用いたアプローチがある。
本論文では、数値実験から、ストリームとサブハローのencounterにより、ストリームのエネルギーや表面密度などがどのような分布になるかを調べている。
その結果、ΛCDMモデルから予測されるだけのサブハローが存在すればストリームの分布に特徴的な形が残ることを示唆した。
銀河04b 02/Aug 9:21-9:24
小室 祐介 東北大学 M1 銀河形成におけるサブハロー問題
現在の宇宙はCDMモデルに従うとされている。
CDMとはCold-Dark-Matter(冷たい暗黒物質)の略で、正体は不明だが宇宙初期において速度分散が小さい粒子とされている。
宇宙において観測される様々な観測事実を裏付けするためには、この「重力相互作用のみをする未知の物質」の存在が不可欠である。
CDMモデルに従う宇宙において構造形成の過程を考えると、小さな構造が集まって大きな構造ができるという階層的合体過程を経て構造が形成される。
この考えに基づいて構造形成のシミュレーションがこれまでに幾つか行れているが、その結果は観測される大規模な構造をよく再現できている。
しかし、1 h^-1(Mpc) よりも小さなスケールにおいてシミュレーション結果と観測結果との間に様々な問題が生じている。
今回の発表ではこの問題の一つであるサブハロー問題を取り上げ、現状とこの問題に対してどのようなアプローチが行われているかを紹介する。
銀河16b 03/Aug 12:15-12:18
國崎 恵理 お茶の水女子大学 M1 種無し銀河は存在するか?
銀河中心に存在する大質量ブラックホール(SMBH)の形成過程については、
様々な理論が展開されているにも関わらず未だ解明されていなく、大きな謎に包まれている。
観測によると、遅くともz=6の時期には既にQSOが存在していたと考えられる。
さらにSMBHの質量とバルジの速度分散(Tremaine et al. 2002)、そしてバルジの質量(Magorrian et al .1997)には相関が存在することも知られている。
このことから銀河とSMBHの進化において、SMBHがprimordialであるという視点を持ったときに、
どの様な可能性や問題点が浮上してきているのか検討する。
そしてその場合のBHとPop2との相互作用などを、観測的な方向からも整合性を見ていきたい。
銀河19b 03/Aug 12:18-12:21
本間 英智 東北大学 M1 測光赤方偏移から探る銀河の進化
銀河の形態や性質が多岐に渡っていることは、現在の観測から既に明らかになっている。
銀河は恒星やガスなどの集合であり、それらは時間とともに複雑に相関しながら現在観測されているような姿に至ったと考えられる。
そのため銀河をその時系列で調べていくことができれば、進化過程におけるどのような現象が銀河の性質に寄与しているのかが分かると期待される。
銀河の構成要素を観測から調べる手法として、進化的種族合成法を用いたスペクトル解析があげられる。
この手法はある集団としての恒星系のモデルスペクトルの足し合わせから銀河スペクトルを再現する最適解を探る手法で、
銀河の質量、化学組成、星生成史、redshift、などのパラメータを得るための強力な方法であると考えられる。
しかし銀河スペクトルを観測するには、比較的明るい銀河、集光力の高い望遠鏡が必要とされ、解析にも時間がかかる。
そこでより暗い銀河、遠方の銀河から情報を引き出すための手法として、測光赤方偏移(photo-z)に着目する。
これによって銀河のredshiftを測定すると同時に銀河の大まかな情報が得られれば、銀河が経てきた進化過程が大局的にどのような傾向にあるか調べることができると期待される。
そのような目的のために測光赤方偏移がどの程度有効であるかを評価する。
銀河20b 03/Aug 12:21-12:24
本田 和志 東北大学 M1 How was the Hubble sequence 6 Gyrs ago?
ハッブル分類により分類される種々の銀河が、どのように構成されたかについては、これまで様々な議論がなされてきた。
その中でも、数十億年前の姿を持つ遠方の銀河を、現在の銀河と関連付けるという試みは、興味深いものでありながら、
その関連の中に多くの要素が含まれているため、困難なものと見なされている。
私は、その試みに関する、2009年に記されたR.Delgado-Serrano他の論文を紹介する。
これは、近傍銀河のサンプルをSDSSから、遠方銀河のサンプルをGOODS surveyから、Jバンドの絶対等級がM_J(AB)<-20.3であるという単一の基準に従って選び出し、
それらを分析、比較することによって、現在のハッブル分類を60億年前のそれと関連付けようとするものである。
最終的にこの論文では、60億年前と現代の間において、E/S0銀河がほとんど増加していないと思われる事、
それとは好対照に渦巻銀河の割合が増加している事を見い出し、遠方銀河の半数を占める特異な銀河が、現代の渦巻銀河へと関連付けられる可能性を示している。
銀河22b 03/Aug 12:24-12:27
Rybka Piotr 名古屋大学 D1 Classification schemes and properties of infrared galaxies
The AKARI/FIS All-Sky Survey Bright Source Catalogue Version 1.0contains more than 400,000 sources from which almost 40,000 lay in
regions of the sky where contamination from the dust emission is lower than 3% of the sensitivity in the 90 microns band.
Within this sample there are more than 26,000 extragalactic sources.
We plan to discuss statistical properties of galaxies and show possible classifications schemes of different morphological types.
銀河33b 03/Aug 17:30-17:33
藤井 慎人 東北大学 M1 FMOSの近赤外分光画像データを用いたAGNと星形成銀河の分類
「活動銀河核:AGN」の性質を統計的に探るためには、通常銀河とAGNの分類が必要である。
銀河の中には、Hαλ6563Å、[OIII]λ5007Å等、電離レベルの異なる様々な輝線のスペクトルを示すものがあり、それが星形成銀河とAGNである。
しかし星形成銀河とAGNとで紫外電離光の起源が異なるので、その高電離輝線の強度が天体毎に違ってくる。
よって、銀河から放射される複数の輝線(4つ使用)の強度比をグラフ上にplotすることで、AGNと星形成銀河を区別することができる。
ここでは実際に画像データを解析して、天体を分類するのが目的である。
今回は、すばる望遠鏡に設置されているFMOS(Fiber Multi-Object Spectrograph:光ファイバー多天体分光器)の観測データを用いた。
観測領域はSXDS(Subaru/XMM-Newton Deep Survey)領域である。FMOSは近赤外波長帯9000-18000Åを分光観測できるので、
ドップラー効果によりHα、[OIII]等の輝線が近赤外波長帯にシフトしている、赤方偏移zが1-2辺りの銀河に焦点を当てた。
データを画像処理後、IRAFを用いてスペクトルをfittingすることでFluxが求めることが出来、
それぞれの天体の輝線強度比が分かる。結果は、おそらく上記の方法で実際にAGNを分類出来ているのではないかと言える。
発表内容については画像処理から解析まで一連の流れと、結果について詳細を述べる。
銀河34b 03/Aug 17:33-17:36
村田 一心 総合研究大学院大学 M2 赤外線天文衛星「あかり」による北黄極領域カタログの再構築
赤外線天文衛星「あかり」は北黄極領域でディープサーベイを行い、z〜1-2の星生成史を明らかにしてきた。
しかし、これまでの画像には様々なノイズが乗っており、期待した測光精度、検出限界を出せなかった。
そのため、活動銀河核(AGN)とスターバーストを明確には区別できなかった。
また、z〜2における高光度赤外銀河(LIRG)のサンプル数を稼げなかった。私はこれまで「あかり」IRC(Infrared Camera)の近赤外線における画像評価、ノイズ除去を行ってきた。
一方、Arimatsu et al(2011)により、IRCの中間赤外線におけるフラットフィールド補正が大幅に改善された。
その結果、「あかり」IRCの画像を再解析すれば、測光精度、検出限界を約15%改善できることが分かった。
測光精度を改善すれば、銀河のSEDモデルフィットをより正確に行える。そのため、AGNとスターバーストをより正確に区別できる。
また、検出限界が向上すれば、z〜2におけるLIRGのサンプル数を増加できる。したがって、AGNの放射成分を分離した正確な星生成史をz〜2まで求めることが期待できる。
そこで私は、「あかり」IRCの全9バンド(2-24μm)の観測画像を再解析をし、北黄極領域のカタログを再構築することにした。
本発表では、画像評価の方法、およびカタログ再構築の現況を報告する。
銀河35b 03/Aug 17:36-17:39
藤野 遥子 奈良女子大学 M1 すざく衛星による低表面輝度銀河団A76のエントロピー測定
銀河団は宇宙で最大規模の天体であり、その重力ポテンシャルには高温のガスが閉じ込められている。
銀河団の進化に従い高温ガスは中心に集中していくため、集中度が低くX線表面輝度が低い銀河団ほど若いといわれる。
また、ガスがポテンシャルに落ち込み加熱を受けるとエントロピーは高くなるため、進化が進んだ銀河団ほどエントロピーが高くなることが予想される。
しかし過去のROSAT衛星などによる観測から、表面輝度が非常に低い一方で、エントロピーが高い銀河団が数個見つかっている。
これらは力学的には若いにも関わらず、既に加熱が生じており熱的には進化段階が進んでいるとみなせる。
これには従来の考え方とは異なる加熱過程が関わっている可能性があるが、まだ解明されていない。
この問題にさらに迫るために、A76という低表面輝度銀河団に着目した。
今回すざく衛星によるX線観測データからエントロピー分布を求めることで、
この銀河団の形成過程を探ることを目指している。本講演では、A76のX線スペクトル解析について報告する。
銀河36b 03/Aug 17:39-17:42
倉兼 務 山形大学 M2 銀河団内のサブストラクチャーの運動に伴うガスの流れについて
銀河団は数十から数千の銀河が互いの重力でまとまっている大規模な集団であり、銀河、銀河団ガス(Intracluster medium:ICM)、
ダークマターから構成されている。
(銀河:銀河団の全質量の10%以下、ICM:X線を放射する数千万から数億度のプラズマであり銀河団の全質量の10-20%、
ダークマター:銀河団の全質量の大半を占めており銀河団の重力ポテンシャルを担っている。)
銀河団全体の大きさは直径数Mpcである。また、銀河団は小さな銀河団や銀河群と衝突・合体を繰り返しながら成長し続けている天体である。
近年X線観測などにより、銀河団内を運動するサブストラクチャーの構造(cold front など)が確認されてきた。
このサブストラクチャーの運動に伴って、周囲の銀河団プラズマに乱流が発生することが予想される。
この乱流は粒子加速・ガスの加熱・重元素の輸送過程などに寄与すると考えられる。
今回我々は銀河団内でのサブストラクチャーの運動に伴うガスの進化について、Roe TVD法を用いた三次元流体シミュレーションを行って調査した。