〜研究紹介(李)〜


恒星物理学
(1) 脈動変光星の理論的研究。様々なタイプの脈動変光星が知られているが、 主に主系列近傍の早期型星の脈動変光星である、SPB(Slowly Pulsating B) 星やβ Cephei型変光星についての理論的研究を行っている。恒星の進化模型を計 算し、その恒星進化模型がもつ脈動(固有振動)の振動数スペクトルや安定性 を、線型理論を用いて解析的、数値的に調べ、観測と比較したりする。早期型変 光星には自転速度が大きいものが多く、星の高速自転が固有振動の振動数スペク トルや安定性に与える影響や、波(固有振動)による自転の角運動量輸送の仕組 みなどを調べている。
 
(2) 中性子星の物理の理論的研究。中性子星が関係する天体は、電波からX 線・ガンマ線にいたる様々な波長で観測されるが、特に周期的・準周期的な変光現 象についてそのメカニズムの理論的解明を目指している。そのようなメカニズム の一つとして中性子星の大局的な固有振動が考えられるが、中性子星はその内部 に固体領域と液体領域が存在する複雑な構造をもち、さらに超流動領域があった り、強い磁場があったり、高速自転をしていたりと、単に固有振動を理論的に調 べるというのもなかなか難しい天体である。場合によっては、これらのことを一 般相対論的な枠組みの許で調べなければならない。そもそも、中性子星内部の高 密度領域における状態方程式などは今もよくわかってはいないので、恒星の内部 構造のようには、中性子星の内部構造が理解されているわけでもない。このよう な難点を少しでも解決できるように様々な切り口で研究を進めているのが現状 で、その中には、磁場や自転を考慮した中性子星固有振動の研究や、X線で観測 される周期的光度曲線のモデル計算、中性子星の冷却モデルを使ったtransient X線源のバースト現象の解析、などがある。

(3) その他に、Be星周囲のガス円盤の構造や形成メカニズムを調べたり、中 性子星周りの降着円盤の模型を、磁場を考慮して計算したりしています。



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