STUDY

派遣先の研究所紹介&ボストンで出会った研究者のみなさん

ハーバード大学

ハーバード大学スミソニアン天文台(CfA)

INSTITUTE

ハーバードヤードにあるジョン・ハーバードの座像。足先に触れると幸運が訪れるとのことなので、触れてみました。

滞在中お世話になったハーバード・スミソニアン天体物理センター。研究者にとってとてもよい環境です。

コロキウムやカンファレンスが行なわれているPhillips Auditorium。滞在中に行われていたセミナー等に参加しました。

滞在中の私のディスク。ここで約3週間作業していました。

研究所の近くにあるお店でほぼ毎日ランチしていました。アメリカンな量ですがとっても美味しい!

11月初めに雪が降りました!初雪はボストンで見ました。ほとんど北海道と同じ緯度にあるボストン。寒かったです。

PEOPLE

同じ分野で研究しているMatthew G. Walker氏

私の研究の“きっかけ”となった論文の著者。非常に有意義なディスカッションができました。

海外派遣者懇親会をきっかけにお世話になった山口弘悦さん。超新星残骸の研究をされている方。銀河化学進化とリンクしたお話からボストンでの生活に関する事まで教えて頂きました。

頭脳循環プログラムの代表者であるHoward A. Smith教授。非常に優しい先生で、色々と気にかけて頂きました。

・ハーバード大学スミソニアン天文台

・第21回JSPS海外派遣者懇親会

ボストン滞在中に学術振興会が主催する海外派遣者懇親会に参加させて頂きました。アメリカで活動している様々な分野の日本人研究者が集まり、お互いの研究やアメリカでの生活について楽しくお話できました。研究の苦労話や信念、海外での研究することに意味などを聞き、私自身の研究や海外に出て活動することに対して、とてもモチベーションが上がりました。

・ボストン日本人会 アイスホッケー部

滞在中、ボストン日本人会のアイスホッケー部の練習に誘って頂きました。毎年チームを作ってリーグに参加しているとのこと。練習場に着くと、海外派遣者懇親会でお会いした方にも再びお会いできました。久々の運動で、良いリフレッシュになりました。

渡航の目的と成果

今回のハーバード大学スミソニアン天文台への派遣には2つの目的がありました。

それは、

1.東北大学頭脳循環プログラムの主力研究員である馬渡健君の研究支援

2.同研究分野で活躍しているMatthew G. Walker氏とのディスカッション

です。

1. 馬渡君の研究領域は主に遠方銀河になります。遠くの銀河を見ることで、銀河の誕生や成長の「現場」を捉える事ができます。馬渡君は「形成・進化の現場とその周りの環境とが、どう関係しているのか」を解明するために日々研究しています。

 一方、私の研究領域は主に近傍銀河になります。昔に生まれた銀河が成長した姿をした銀河が多いのですが、その銀河の古い成分(球状星団や矮小銀河、ハローにある星)から銀河の形成・進化の情報を得られる事ができます。言い換えると、近くの銀河を見ることで、銀河の誕生や成長の「痕跡」を捉える事ができるのです。

私は「銀河にある古成分から銀河がいつ・どうやって出来たのかの歴史」を解明するために研究をしています。

この2人の研究はどちらも「銀河の形成と進化」について研究していることになります。しかし、同様な研究をしているにも関わらず、この分野の研究では近傍と遠方との形成・進化の関係性が上手くリンク出来ていないのも事実です。

 そこで今回の頭脳循環プログラムを通じて、馬渡君と議論を行うことで互いの研究に対して相補的役割を果たし、1つの時間軸でみた大局的な銀河の形成・進化について研究をはじめていきたいと思います。

 一つの成果として、QSO illuminated filaments survey with MOIRCS” というタイトルですばる望遠鏡のプロポーザル審査を通過し、4月に観測へ行きます。この観測は、銀河の激進化期とされる赤方偏移2.2の天体の周辺構造を探ることを目的としています。この観測によって、銀河形成の環境効果や銀河の歴史を紐解く重要な知見を得られると期待しています。


2.Matthew G. Walker氏は、私の最初の論文のきっかけとなった論文の著者で、Hubble fellowとしてハーバード大学スミソニアン天文台で活躍している若手研究者です。主に矮小銀河という天体の研究をしています。この矮小銀河は大きな銀河を作る“種”と考えられており、銀河形成の痕跡を探る上でとても重要な天体です。また今日の銀河形成論において大きな問題の一つに、矮小銀河の質量構造や化学進化史が理論的結果と一致していない事が挙げられます。このような背景の中で、私は主に理論的、Walker氏は主に観測的立場から問題解決に対して研究してきました。

 そこで今回の頭脳循環プログラムを通じて、Walker氏と理論・観測の両者からみた議論を行うことで、将来的研究の可能性や、今の理論構築や観測の問題点、そしてこれからやっていくべきことを話し合いました。

 その1つの成果として、Walker氏が新たに行う観測データを頂き、それを用いた新たな研究を行う事になりました。今後またボストンへ行く機会が頂けたら、さらに深い議論を行いたいと思っています。