「すばる前夜」 天文月報2017年8月号540頁

要約

すばる望遠鏡はなぜ海外の適地に建設されることになったのか.すばる完成後20年近く経った今でも,そんな質問をされることがある.その始まりは1980年に光学天文連絡会が結成される直前の2年間にある.東京天文台の岡山3 m級望遠鏡計画のうわさから始まり,京都大学が海外中口径望遠鏡へ舵を切る.光天連発足後,全国規模の望遠鏡将来計画の議論の中で,2本柱の国内大型・海外中型計画の見直しを経て,すばる望遠鏡計画に結実した.光天連発足前の2年間は光・赤外線天文研究者の意識が大きく変わった時期でもあった.筆者が博士課程の学生だったときにそれを目の当たりにし,また,京都にいて直接にかかわってきたことを当時のメモと資料を基に振り返る.
 


資料