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第1338回 天文学教室談話会

日時

2012年09月12日(水) 15:30

場所

大輪講室

講演者

海老沢 研 (JAXA 宇宙科学研究所 教授)

題目

X線スペクトル観測によるブラックホールパラメーターの推定

要旨

1980年代、我々は日本の「ぎんが」衛星を用いて、ブラックホール連星のX線スペクトル変化を標準降着円盤モデルを用いて解釈し、それから円盤内縁半径を見積もり、ブラックホールの質量を推定することができることを示した。それ以来、ブラックホール連星や活動的銀河中心核のX線スペクトル観測から、ブラックホールのパラメーター(質量、スピン)を推定する試みが広く行われている。 近年、系外銀河中に多くの「超高光度X線天体」が見つかっているが、それらに対して標準降着円盤モデルを適用することによって、その正体が数百から数千太陽質量の「中間質量ブラックホール」だとする説がある。いっぽう、我々は、超高光度X線天体に移流が優勢な非標準降着円盤(スリムディスク)モデルを適用し、その多くは30太陽質量程度のやや重めの恒星ブラックホールだと考えている。もし我々が正しいとすると、「中間質量ブラックホールは必要ない」。 また、ブラックホール天体のX線スペクトル中に、重力赤方偏移を受けて低エネルギー側に裾を引いたように見える、特徴的な広がった鉄輝線構造が存在する。一部の研究者は、それをブラックホール極近傍からの鉄輝線放射と解釈し、そのスペクトルプロファイルが重力場に依存することからブラックホールのスピンに制限を与えられると考えている。いっぽう、我々はそのような鉄輝線構造を持つ多くのセイファート銀河のX線スペクトルを統一的に解析し、実はそれらのX線光度はほとんど変動しておらず、内部構造を持った多くの電離吸収帯が視線上を横切ることによって、見かけ上の強度とスペクトル変化の大部分を説明できることを示した。もし我々が正しいとすると、「広がった(ように見える)鉄輝線観測からブラックホールのスピンパラメータは決められない」。また、「セイファート銀河のX線光度は、見かけほど変化していない。」 さて、真実はどこにあるのだろうか?聴衆の皆様のご判断を仰ぎたい。

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【The Colloquium Committee in 2012】
Shijun Yoshida (yoshida<at>astr.tohoku.ac.jp)
Masaki Takayama (m.takayama<at>astr.tohoku.ac.jp)
Hidetomo Honma (hide<at>astr.tohoku.ac.jp)
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